治療してから、痛くないんですが・・・

今日は、坐骨神経痛脊柱管狭窄症のお話です。

この方は、時々腰に違和感があり、2ヶ月位前に剪定をしていた時にお尻がすごく痛くなったのだそうです。立ち上がりや、歩くとき、階段を降りる時、朝起きた時が特に痛く、日によって激しく痛むこともあり、病院で脊柱管狭窄症と言われたのだそうです。

「鍼は、怖いけど、良くなるのであれば、ものは試しに・・・」

と言われ、しっかりエコー鍼灸を受けられました。お尻の一番痛いところに1本だけは、エコーを使用し、悪い所(梨状筋)を狙って少し深めに刺しましたが、あとは、全体的に軽く痛くないように施術を行いました。
その後、2回目に来られた時、

「どうして痛くないのですか!? この前、治療してから痛くないんですが・・・」

とビックリしたようにおっしゃられました。「痛くないので、杖を忘れそうになった」とも・・・鍼灸治療の効果は人それぞれで、すぐ効果が出る方や、時間のかかる方様々いらっしゃり、この方の場合は、凄く治りが良かったのです。そのようにお伝えすると、「私は、効果が早い方なのですね!」と、嬉しそうにおっしゃられました。

しかし、ここからが心配なのです。

調子が良くなると、まだ良くなっていないのに慢性的に悪かった方でも体が動くので、ついつい今まで出来なかったことや、気になっていた事を頑張ってしてしまったりするのです。

もっと頑張ろうとする時、 アドレナリンというホルモンが分泌されることで身体的なパフォーマンスが一時的に上がって出来てしまったりするのです。火事場の馬鹿力のようにです。そのうえアドレナリンが脳に到達すると、エンドルフィンなどのモルヒネのような物質まで出たりして、体はだまされ痛みや疲れを感じにくくなって、気分が良くなったりする事さえあるのです。

そして、まだ治っていないのに頑張ってしまったので、その後に痛みがでて、中には最初の頃よりひどくなる方がいらっしゃいます。傷口で言えば、せっかく良くなってきていたのに、ぱかっとさけてしまって治りが悪くなるような感じでしょうか・・・
そして、凄く落ち込んでしまうのです。 すると、交感神経が緊張して治りもさらに悪くなり悪循環になってしまいます。

痛みがなくても、まだ良くなったわけではないのです。治療をしながら、痛みのでない状態が続き安定してくれば、自然と色々とできるようになり、筋肉もついてきます。悪い時は、できるだけしないで済むことは、しないようにして安静にすることが大切です。何かを始める時も少しずつ、物足りないくらいでやめるようにしなければ、やりすぎて痛めてしまいます。

そうこうしているうちに、本当に元気になってきて、無理をある程度でしたとしても回復できるようになっていくのです。
宇宙飛行士が、重力のある地球に戻ってきて立てなかったりしますよね。重力に逆らって、日常生活が普通にできるだけでも筋肉を使っているのです。筋肉をつけようと日常生活が出来なくなるほどがんばって運動をしてしまうのは、本末転倒なのです。

後は、疲労がたまってくると痛みに変わるので、疲れが蓄積しないようにたまにケアをして痛みが出ないように疲れをとってあげると日常生活が楽に過ごせます。
治療と治療の間隔もその方によって違ってきますので、様子を見ながら見つけていきます。もちろん、特にハードだったり、調子が悪かったりする場合には、臨機応変に詰めてこられた方が回復も早くなります。
とにかくこじらせないことが大切です。

3回目に来院された時、「痛みは、この前と変わらずありません。言われたとおりに色々しないようにしています。」とおっしゃられ、ホッとしました。

痛みなく過ごせて、本当に良かったです(^^)!